初心者が四規・七則を現代語訳したら茶道の心の在り方がわかった
「茶道?作法や形を重視してるんじゃないの?」って思う方もいるかもしれません。
実は私もそう思っていました。
でも、茶道においてテーブルだろうが座敷だろうが流派だろうが、作法や所作・道具よりも最も大事な事って、相手への思い遣り心を忘れないことなんじゃないかなって思いはじめまして。
それを教えてくれているのが、いわゆる四規(しき)・七則(しちそく)ってやつです。
とはいえ、この四規・七則。
四規は漢語だし、七則なんて昔の言葉で書いてあるので、現代人にとって解釈が難しいのが難点です。
そこで今回は、テーブル茶道椿の会で認定講師になるべく勉強している歴女Chichanが、現代人に向けてわかりやすく四規と七則をご紹介します!
この記事で、茶道の心の在り方が現代人こそ大事だということもわかるので、より茶道に興味を抱けるようになりますよ!
茶の湯は形式や作法・所作や道具よりも心の在り方だ大事である
以前お伝えの通りテーブルスタイル茶道 椿の会で認定講師コースを受講し始めたChichan。
そのなかで茶道の精神についてもみっちり勉強させていただいています。
そこで、茶道(茶の湯)にある精神って、ひも解いていくと究極のおもてなしでありマインドフルネスの要素が混ざり合ったモノだということをヒシヒシ感じています。
ネットで茶道について調べてみても、作法や所作・かたち・道具について調べられていることが多いんですよね。
むしろ、私自身も「そこ重要じゃん!」って思っていました。
ですが、カジュアルだろうが伝統的だろうが、いくら目に見えるすべての形が良くても心がないということは、もはや茶道ではないと言えちゃうんです。
茶道は、座敷でもテーブルっていうカジュアルな方法でも四規と七則のおかげで心の在り方は共通しているなって思います。
超ざっくり!そもそも四規・七則って?
読み方はこんな感じです。
- 四規(しき)
- 七則(しちそく)
いずれも茶の湯を大成した千利休さんが茶道の精神を述べた言葉と覚えるとわかりやすいです!
四規は茶道における精神を標語という形でかんたん&簡潔に表現しているのに対して、七則は茶道のおもてなしにおける心構えについてを現代語に近い文章でより詳しくしたためています。
分けると覚えやすい
ネット検索では四規と七則ってひとつの言葉で調べられていたり、四規七則という形でまとめて「茶道における精神」と解説している方もいます。
初心者はこんがらがり防止として四規と七則を切り離して覚えるのが良いでしょう。
茶道を学ぶうえで大切な精神「四規」
まず、四規(しき)から見てみましょう。
お茶会に行くと飾られる掛け軸にも載っていることもある四規は「和敬清寂(わけいせいじゃく)」のことを指します。
茶道における精神を標語という形でかんたん&簡潔に表現しながらも禅の心を取り入れたとされる標語です。
「和敬清寂(わけいせいじゃく)」こそが、茶道における精神!
茶道をする上では、「和」「敬」「清」の3つを心得えることが重要です。
さらに、心にある迷いや邪魔するものを取り払うことで、茶道だけに集中する「寂」の大切さが説かれています。
漢字四文字でそこまで深い意味があるなんて、すごいですよね!
お茶会を主催する亭主だけでなく、そこに参加するお客さんも意味を理解し、守らなければなりません。
初心者は分解するとわかりやすいよ!
いきなり「和敬清寂(わけいせいじゃく)が四規」と言われてもピンとこないのが初心者あるある。
こんな時は、漢字をひとつずつ分解して見ることで、どんなことを大切に茶道をするかがわかります。
ってことで、Chichanが超簡単に分解してみました( ´艸`)
- 和= 調和を持って仲良くする
- 敬= 相手を敬い、互いに敬い合う
- 清= 清らかな心
- 寂= 動じない落ち着いた心
千利休が残したお茶の心得”七則”を茶道初心者が現代語訳してみた
七則(しちそく)は超訳すると利休が残したお茶の心得のこと。
「利休七則」とも言われており、茶道を学ぼうとした場合避けて通れない心得です。
- 茶は服のよきように点て
- 炭は湯の湧くように置き
- 花は野にあるように
- 夏は涼しく冬は暖かに
- 刻限は早めに
- 降らずとも傘の用意
- 相客に心せよ
じゃあ、それぞれについて詳しく見てみましょう!
茶は服のよきように点て
現代語訳すると、「お茶は相手を思い浮かべながら心を込めて美味しく点てよう」。
一言で言うと「気配り大事だよ」です(笑)
実際にお点前のレッスンをはじめて学んだのですが、お茶は基本的に出来立てxあったかが一般的ということ。
もちろん、あったかできたてが大事ではあるものの、一方では相手の状況に併せてちょうどよい茶を点てることが何よりも重要視される。
それが茶道です。
相手の様子を見てほしいものを察知し、提供する気遣いの重要性をあらわしていることが「茶は服のよきように点て」という一言で体現されているというわけなんですよね。
歴史上の人物のエピソードからもわかる!
「茶は服のよきように点て」をよりわかりやすくイメージするには、利休本人や戦国武将のエピソードを知ることもオススメです。
歴女が熱く語りますね(笑)
まずは、千利休ご本人のエピソード。
千利休がある日の茶会に遅く来た人へ出したお茶。
1杯目はぬるいお茶を出し、2杯目にあたたかいお茶を出したというエピソードです。
そしてもうひとつが、天下人となった豊臣秀吉と石田三成の出会いのエピソード。
石田三成のその場でとっさに働いた知恵と気遣いに感謝したという話です。
鷹狩の際に秀吉はある寺に訪れました。
そこにいた小姓(当時の石田三成)は、「喉が渇いた」という秀吉に合わせてぬるいお茶を大きな茶碗で持参します。
それを一気に飲み干した秀吉はのどを潤せました。
秀吉はさらにもう一杯所望します。
そこで渡されたお茶は、少し小さめの茶碗にやや熱いお茶。
秀吉は喉がうる負ったからか、心も落ち着きゆっくりお茶を飲みます。
そしてさらにお茶を所望した秀吉。
小姓・石田三成が持ってきた最後の一杯は、高価な茶碗に上等なお茶を少し。
のども潤い、心も落ち着いてきた秀吉がじっくりお茶や茶器を味わえるようにと配慮がされていました、とさ。
私、石田三成が大好きなのでこのエピソードが一番グッときました(笑)
石田三成に関する小説にもこのエピソードは取り上げられていますので、もし気になる方は片っ端から石田三成が主人公の本を読んでみてください(笑)
炭は湯の湧くように置き
現代語訳は、「炭はお湯が沸くように確認しながらおきましょう」ということを言っています。
本当に燃えるか、本質を確認することが大切だと訴えているようですよね。
つまり、この一言は「事前準備や段取りは大事だよ」を表していることがわかります。
美味しいお茶はお湯の温度が高ければ高いほどよいとされている茶道。
そこで大事なのが、炉で沸かしたお湯です。
炉は炭で焚かれるのですが、詰み方を考えないと炭は燃えてくれません。
炭がよく燃えるように詰むという工程は、茶道においては裏方の仕事ですが、裏方の仕事を怠ると最高のお茶を入れられないということにつながります。
ちなみに、ドイツでも暖炉を薪でくべる文化がいまだに残っています。
消えかけた暖炉の火も、木の詰み方次第では火が再び灯り、燃えるんですよね。
身近な例で例えると、仕事に例えるなら計画を立てて優先順位を付けることと同じなのではないでしょうか。
仕事も茶道も、事前準備をしっかりすることで相手にも信頼感を与えられるし、用意する自分も安心できますよ!
花は野にあるように
字だけ見れば自然体でいることの大切さを説いているのですが、裏を返せば自然から与えられた個性や命の尊さを意味するとも解釈出来ちゃいます。
自然体でいることの大切さ
「野原に咲いた花がそのままでいい」というわけではありません。
無駄を取り除きながらも野に咲く花をほうふつとさせる物事の本質を追求しましょうという裏の意味が隠されています。
日本文化ならでは~!
これは、フラワーアレンジメントと比較するとわかりやすいですよ!
- フラワーアレンジメント= 豪華であることが美しく華やか
- 茶会で飾る花(茶花)= 無駄を徹底的に省いてシンプルな美しさを表現し、魅力につながる
亭主(主催者)は1回1回のお茶会に、お客様に五感で季節を感じてもらうために思いを込めてお花も飾ってお迎えします。
それは、お茶会で飾られている花を見るのも、一度きりだからです。
この考えは、盆栽に通じるものもあるなーって感じます。
盆栽も、無駄な枝葉を取り除き、キレイに剪定し、床の間に飾ります。
(おじはベランダに飾ってた)
それが、床の間に季節感をもたらしている(と解釈している初心者)
自然から与えられた個性や命の尊さ
一方で、自然から与えられた個性や命の尊さとして解釈される場合もあります。
それは、茶会でお客様をお迎えするお花だけが唯一生きている存在だからです。
抹茶を楽しむ空間は、基本的に座敷ですよね。
そこにはいったい、何があるか想像してみてください。
きっと、こんなものがあると想像するでしょう。
- 禅語が書かれた掛け軸
- 抹茶
- お茶碗
- 茶道具
- 畳
- 花(茶花)
そう、人間以外、唯一茶会で命があるのはお花なんです!!
こういうのって、きちんと学ばないと知らないし気づかないことですよね。
私もこれを知ったときは驚いたものです^^
夏は涼しく冬は暖かに
文字から察する通り、相手を思いやり、心地よい空間を作りましょう、ということです。
利休の時代には、私たちの生活では当たり前なエアコンや扇風機なんてありませんでした。
なので、茶室にはエアコン・扇風機・暖房設備は炉。
だからこそ、五感を通じて心地よいと思ってもらえるように、さまざまな工夫を凝らして準備していました。
では、どんな準備だったか、ちょっと想像してみてください。
エアコンを作ったわけではありませんよね(笑)
こんな感じです。
- 夏に打ち水
- 季節に応じたお菓子
- 掛け軸の文字で季節感を出す
- お茶碗の素材
- 障子からみすにかえる
- 冬は釜を大きいものにする
この精神が、スイッチ付ければ解決する現代にも茶道を通して大切に受け継がれているというわけです。
心地よい空間は、人々の贅沢に直結するとも言われています。
「お客様目線でどうしたらお茶を楽しむ茶会の場を快適に過ごせるか?」
を第一に考え、茶会に来てくれたゲストへ配慮しましょう、という教えになっています。
刻限は早めに
「時間や気持ちにゆとりをもって早めの行動しましょう」と現代語訳できます。
定められた時刻のこと
気持ちにゆとりはないとどうなるか想像してみてください。
どうなるでしょうか?
こんなのが挙げられますよね!
- 自分のことしか考えられない
- めのまえのことでいっぱい
- イライラする
- 雑
- 口調がきつくなっちゃう
など
これって、自分も損するし相手も離れちゃいますよね。
茶道は、時計やスマホを見ることなくゆっくりと時間を過ごす優雅で贅沢な時間を演出してくれます。
それは、主催者が余裕をもって準備するから。
さらに、参加者はゆとりをもって集まることで主催者の細かな気配りやおもてなしを感じやすくなるでしょう。
どちらにも思いやり溢れ優しい世界ができるのではないでしょうか?
誰かの時間、盗んでませんか?
自分にゆとりがないとイライラ、キリキリしちゃって、誰かの時間を無意識に盗んでしまっているかもしれません。
あなたは時間泥棒って聞いたことありますか?
本業のブログでも語っているのですが、時間は無限ではありません。
お金持ちも貧乏な人も、人生楽しい人もそうでない人も、子どももおじいちゃんも、誰しも平等に24時間与えられています。
なんでも昔は時間泥棒は「弁済不能の十両の罪」と言われていたそうです。
罪ってえええ!!😨
恐ろしいですよね;;
でもよく考えてみれば、お金は返せても時間は返せませんよね。
Chichanはフリーランスなのですが、フリーランスに通じるものがあるなって思いました。
- 納期遅れる
- 大事な連絡に返信しない
こういう人との仕事に、次はないのがフリーランスです。
っと、話が逸れてしまった!!!
本題に戻ろう!!
降らずとも傘の用意
続いては「降らずとも傘の用意」。
現代語訳にすると「雨が降っていいなかったとしても傘を用意しておく」つまり、
「いつ雨が降っても安心できるように」
というように、不慮の事態に備えて心の準備と実際のモノ(ここでは傘)の準備の大切さを訴えかけています。
- 臨機応変
- 予防策をたてる
- 備えあれば憂いなし
といった言葉にも通じるのではないでしょうか。
利休の時代にはエアコンや暖房設備がなかっただけでなく、折り畳み傘なんてハイカラなものは存在しません。
あるのは番傘一択。
あるいは、ヨーロッパ方面の人たちのように傘なんてめったにささなかったかもしれません。
もし、お茶に出かけようとした日がくもりで、雨が降りそうにもかかわらず、傘が持てなかったらあなたはどうしますか?
- 傘がなくて落ち着かない!
- 雨に濡れたくなくてソワソワ
- なんならさっさと帰りたい
こんな気持ちになりませんか?
私だったら間違いなくなってる(笑)
これでは、落ち着かないうえに、お茶会どころじゃありません。
だからこそのことの言葉「降らずとも傘の用意」です!
主催者である亭主は、雨が降っていなくても万が一に備えて傘を用意していたんですよ!!
これは、客人に雨や天候の変化で余計な心配かけさせないための配慮!
出来るコトを最大限にやるのが、茶道を志す人が忘れてはいけない心得なのです。
相客に心せよ
最後がコチラ!「相客に心せよ」です。
茶の湯(茶会)に同席した人のこと。
これ、よく見ると最後の7番目だけはお出迎えする亭主(主催者)だけの心構えではないことがわかります。
お茶会を開く主催者である亭主もお客さんも、お互いに尊重することでお互い楽しくなり、茶会は心地よい素晴らしいものになるという考え✨
「客人も交えてお互いを尊重し、思いやりを持ちましょう」
になっているんです。
お客さん同士が同席したことをお互い喜び、感謝し合い、気を配ることの大切さは、茶道のお作法や所作からも現れます。
- お茶菓子をいただく際にお箸を懐紙でぬぐい取る
- お茶をいただく際、隣の人への「お先に失礼します」
- お茶を点ててくれた亭主に「お点前頂戴いたします」
- 茶器を拝見する際の「お先に」の一礼
など
お茶会は一般的に、主催者である亭主と馴染みある人が亭主つながりでやってきます。
そのため、呼ばれてやって来たお客様同士は知らない人同士ということも良くあるそうです。
もしそんな茶道の場で、あるひとりが身勝手でワガママな行動を取ったらどうなるでしょうか?
周囲が不快になるだけでなく、せっかく亭主が念入りに準備した会は台無しになりますよね。
だからこそ、お茶会という場に参加する全員が、その場にいる相手を思い遣ることが大切であり、この思いやりが一期一会を大切にの精神へつながるんです。
主催者だけが気を配るのではなく、客人も他者を思い遣る大切さが問われていることが「相客に心せよ」のひと言でわかるのではないでしょうか。
初心者が四規・七則を理解しづらい理由を考察してい見た
じゃあ、茶道の心を示した四規や七則がどうして現代人には伝わりづらいのでしょうか。
歴女Chichanは、この2つに尽きるんじゃないかなって考えています。
- 四規は漢字だらけ
- 何が言いたいかわからない
詳しく解説してみますね。
漢字だらけ
これは四規に当てはまりますよね。
四規が標語という形でカンタン&簡潔に茶道の精神を説明していることから、漢字(笑)
しかも、学校の漢語の授業以外ではふだん馴染みのない表現だから、より難しく感じちゃうんじゃないかと考察します。
何言っているかわからない
利休さんはおおよそ戦国時代~安土桃山時代にかけて活躍していますが、その時の言葉が伝わりに伝わって令和の現代にまで受け継がれています。
そのため、利休さんが活躍されていた言葉では現代語にマッチしないんです(´;ω;`)
小中学校の古文の授業とか、百人一首をほうふつさせる字面、無理もありませんよね;;
まとめ
ここまで読んでくださったあなたは最高です!!
お疲れさまでした!!
よく見たら6,898文字でした(笑)
四規も七則も、茶道(茶の湯)という会を通じて、その場にいる人全員を全力で思い遣るという、心の在り方の大切さを訴えていましたよね。
茶道では、どのようなスタイルだったとしても、リラックスしてもらえるように念入りに準備します。
そのため、主催者や参加者が一瞬一瞬に全力集中することで
「この人は信頼できる」
「時間を忘れるほどの贅沢な会だった」
「またこの人の茶会に参加したいな」
「またやりたいな」
など互いに思うきっかけになるんだなと考えたら、四規・七則が今まで以上にスッと心の中に入りやすくなるかもしれません。
ってことで、おしまい!